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扉が閉まってそしてこつこつこつ、と神田の踵が床を鳴らす。それが完全に聞こえなくなってから閉じていた目蓋を開けた。 見えるのは白い空間。医務室は何処までも白い。すべての始まりと終りを司るこの部屋にお世話になるのはもう何度目になるだろう。 体を起すとぎしぎしとベッドのスプリングが悲鳴を上げる。突如、じわりとした感触に傷がきちんと塞がっていない事を今更に感知した。 霞む視界と鈍器で殴られたかのような頭痛は血の気が足りないと叫んでいる。ひたすら緩やかに落ちていく点滴を見ているとそれだけで歯痒く苛々する。 動ける筈なのに、全身でレッドカードを啓示して、私を白い世界に縛り付けて放さない。 早く動けるようになればいい。 君のその顔を見ている方が、私は痛くて堪らない、から。 |